美術学部 デザイン学科

2024.07.23 フィレンツェ通信 8
美術学部 デザイン学科

         

フィレンツェ通信 8

これは「フィレンツェ通信」の最終信であり、この度の留学が実り多い充実したものあったのが読み取れます。杉山花菜さんは、今月初めに既に帰国していて、これからは、静岡市内の美術品修復の会社に勤めながら、創作活動を続けていくとのことです。

こんにちは。
三カ月にわたるフィレンツェ滞在の様子を報告するこのフィレンツェ通信も今回で最後となります。この通信を書いている今は既に日本に帰国し、ようやくひと段落ついたところです。

6月後半はフィレンツェ市内を歩き回り、最後はシエナを訪問しました。

「花の咲く場所」という由来を持つフィレンツェ、英語ではフローレンスと呼ばれます。街の中心に建つサンタ?マリア?デル?フィオーレ大聖堂も花の聖母マリアを意味します。

花の都と呼ばれるだけあり6月に入ってからは雨と日差しのおかげで花々が街のいたるところで咲き誇りにぎやかになります。
3カ月間散策をしてまわった街ですが本当にいつも美しいところでした。


それから、帰国日の二日前には最後の旅行にとシエナに行きました。
この街はレンガの赤茶色が街全体を彩る様子が有名です。
赤茶色の絵の具「バーントシェンナ」のシェンナはこのシエナが由来となっているそうです。


シエナの大聖堂はフィレンツェの大聖堂よりも大きく素晴らしいものにしようと造られたそうですが、病気の流行により予定よりも小さく建造されたそうです。大聖堂の敷地内には作り途中となってしまった基礎の跡などが見られます。
大聖堂の中は床に施された石細工や天井の見事な装飾が素晴らしく、時間をかけて見学をしました。聖堂、教会は地域や建てられた年代ごとに内装が異なるのでいつも入るのが楽しみです。


さて、シエナに来たからにはシエナらしい茶色の街を一望したいということで、街一番のビュースポットであるマンジャの塔にのぼることにしました。狭い階段を400段ひたすらに上ります。古い建物が多いイタリアは足腰が丈夫なうちに来るべき場所だといつも感じますね。

天気も快晴だったので素晴らしい眺めを見ることができました。
トスカーナの緑と街の茶色の美しい色合いが素敵です。


そうしてシエナから帰ると荷物をまとめ、3ケ月間を過ごしたレジデンスにも別れを告げてフィレンツェから旅立ちました。


帰りの飛行機のなか、久々の日本に嬉しい気持ちとフィレンツェで出会った美術、人々、景色ともう気軽に会うことが出来ない寂しさを感じながら色々と振り返っていました。
フィレンツェに着いた初日は初めての海外に緊張し身を固くして何事も恐る恐る行っていたのに3ケ月もいると慣れと度胸が身につき拙いイタリア語で話しかけることを恐れなくなりました。これはイタリアの人々がいつでも耳を傾けて話を聞いてくれたおかげでしょう。生活様式も歴史も文化も大きく異なる土地でもコミュニケーションの基本は同じなのだとよくよく分かりました。

フィレンツェ滞在の3ケ月で得た学びは大きく、ここには書ききれない程です。
この学びを糧にしてよりよい作家になり、多くの人に楽しんで貰える作品を描いていけるように更に精進していきたいと思います。

それでは、フィレンツェ通信にお付き合いいただきありがとうございました。


杉山花菜(スギヤマ ハナナ)